このサンプルは,プロトアクチニウムの単体の写真です.プロトアクチニウムのしっかりとした分離・特定は,1917〜18年にかけドイツのハーンとオーストリア・ハンガリー二重帝国出身のマイトナーのグループと,イギリスのソディとクランストンのグループが独立に成功しました.この元素が崩壊していくとアクチニウムを生じたことから,アクチニウムに「先行する or 元になる」(proto-)元素という事でプロトアクチニウムと名付けられました.
このサンプルは,プロトアクチニウムの単体の写真です.プロトアクチニウムのしっかりとした分離・特定は,1917〜18年にかけドイツのハーンとオーストリア・ハンガリー二重帝国出身のマイトナーのグループと,イギリスのソディとクランストンのグループが独立に成功しました.この元素が崩壊していくとアクチニウムを生じたことから,アクチニウムに「先行する or 元になる」(proto-)元素という事でプロトアクチニウムと名付けられました.
プロトアクチニウムはウランの崩壊の際に精製するため,ウラン鉱中に微量に含まれています.ウラン鉱石の精製残渣からはさまざまな放射性核種が見つかりましたが,プロトアクチニウムもその一つです.この元素は1900年にクルックスが分離に成功していましたが,十分な分析が行えていなかったためこの元素の発見者とはみなされていません.1913年にはポーランド出身のファヤンスとドイツ出身のゲーリングのコンビが非常に短寿命(半減期1分程度)の放射性核種の存在を発見しましたが,何なのかは特定できませんでした(※不安定な核異性体である234mPa).その後1917〜18年にかけ,2つのグループが独立に発見するに至ります.
プロトアクチニウムには産業的な用途はありませんが,比較的長い寿命の核種(231Pa:半減期32,500年程度)が,1万〜100万年前程度までの間の海底の堆積物などの年代測定に利用されています.