このサンプルは,ガラスに封入されたアクチニウムの写真です.アクチニウムは1899にフランスのドビエルヌがウラン精製の際の残渣から発見しました.非常に強い放射能をもちかなりの量の放射線を出す元素であるため,ギリシャ語の放射(aktis)から命名されました.
このサンプルは,ガラスに封入されたアクチニウムの写真です.アクチニウムは1899にフランスのドビエルヌがウラン精製の際の残渣から発見しました.非常に強い放射能をもちかなりの量の放射線を出す元素であるため,ギリシャ語の放射(aktis)から命名されました.
アクチニウムはより重い元素の放射性崩壊などで生じる元素で,自然界にも微量に存在しています.いくつかの同位体が知られていますが,最も長い半減期をもつ同位体である227はおよそ22年の半減期をもちます.この元素は現時点では用途はないと思われますが,癌治療用の放射線薬のうち,局所的に非常に大きなエネルギーの照射が可能なα線核医学治療に利用できると考えられており,研究が進められています.
通常のアクチニウムの生産では,かつて核兵器の製造時に作られた233Uをもとに製造がおこなわれていますが,生産量は非常に少なく,研究が可能な機関も限られています.日本国内では近年,比較的豊富に存在する230Thに原子炉内で中性子を照射することで229を作り,その崩壊で225Acを作るという方法や,226Raに線形加速器で加速した電子の制動放射による強烈な光を照射することで核変換を引き起こし225Acを作るといった方法が開発され,今後の利用が期待されています.